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ケアマネコラム

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ご家族支援(後編)

2017-05-04
 長男さんと初対面。40代前半、茶髪、バンドマン持病あり(ヘルニア)、無職・・・さてどうしよう・・・。これまでの経過や現状の課題について説明するも、「ロックバンドとして成功する夢を諦め切れない」「茶髪は譲れない」「ヘルニアだから仕事はできない」などの理由から協力は難しいとのこと。
 その後も粘り強く面接を重ねていくと、長男さんの「生活」や「人柄」が徐々に見えてきました。
「相談や来園の依頼に対して、なんだかんだ言っても応じてくれる」「夢に向かって本気である」「病気に対する知識が不足している」「各種、相談窓口を知らない」「彼女さんがいる」「母親(ご本人)との接し方が分からないけど、息子としての自覚?役割?は感じている」など。長男さんの状況以外にも、ご本人の病状や認知症の症状、在宅復帰の可能性、他施設への入所なども含めて総合的に判断、今の時点でご本人にとってベストな選択は「環境を変えず、このまま施設で穏やかに過ごすこと」であるとの結論に至りました。
 その為にはどうするか。今よりも費用負担の少ない他施設への問い合わせや申し込み、専門医受診による自身の病状についての理解促進、ハローワークへ出向いて就活、義理の妹さんや弟さんへのご挨拶や関係性の維持など・・・前述したような長男さんの持つ「強み」を活かし、ひとつひとつ出来ることから取り組んでいきました。私は、介護支援専門員として長男さんに必要と思われる情報を提供しただけ・・・あとは長男さん自身が考え、時間はかかっても確実に行動を起こしてくれました。
 その結果、①茶髪のままでもできる仕事が見つかった②専門医の受診により「身体への負担が少ない仕事なら可能」ということが分かった③他施設の状況を調べることで、選択肢が限られていることに気付くことができた(待機者が多い、費用が高いなど)④義理の妹さんや弟さんの長男さんに対する見方が変わった、などの気付きや変化が生まれました。
 そして、xx+6年12月にご本人が亡くなられるまでの間、長男さんから義理の妹さんへ定期的な送金があり、利用料を滞納することなく、最後まで立派に身元引受人の役割を果たしてくれました。
 
 さて、今回の事例では何よりも「長男さんの変化」に驚かされました。「変化」というよりも「進化」に近いかなと。
 環境さえ整えれば、あとは持ち前の「強み」を活かして、自身で問題を解決することができるのだなと。結果として、ご本人にとってベストと思われる(関わった人すべてが納得できる)最期を迎えることができました。介護支援専門員としてこれ程嬉しいことはありません。ご本人の支援を通じて、ご家族の絆や役割を再構築できただけではなく、長男さん自身の成長(可能性)も見ることができたのだから。
 介護保険制度が始まったことで、介護の負担は少なくなったのかもしれません。しかし、一緒に「家族の絆や役割」みたいなものまで失くしてしまったのかも・・・。安易に介護保険サービスの利用を進めることがないよう、改めてケアマネジメントの本質について考えさせられる事例となりました。
 長男さんの最後の言葉が印象的でした。「中澤さん・・・最後の支払いっていくらですか?その分を残して葬儀をやらなくちゃならないので・・・」と。まさかバンドマンからそのような現実的な話が出るとは思いませんでしたが、「長男さんらしい」言葉だなと思いました♪

ご家族支援(前編)

2017-04-19
 久しぶりのケアマネコラムです(笑)。今回は「家族支援」についてのお話です。私たち介護支援専門員は「ご本人の自立支援」をお手伝いするのが仕事です。しかし、時にはご本人の自立支援に欠かせない「ご家族に対する支援」が必要な場合もあります。今回は、ある事例を通して、「ご家族の絆」と言う部分を伝えられればと思っております。
(事例概要)
・70代 女性
・アルツハイマー型認知症(発症から10年以上経過)
・平成xx年8月入所(入所時の状況)
要介護5。食事、排泄、入浴、その他身の回りの事にも全て介助を要する。簡単な単語程度は理解可能、文章になる程の会話力はない。身元引受人は「内縁の夫」と「義理の妹さん」。長男さん(今回の主人公)は遠方ということもあり、介護に関わる事はありませんでした。
 
 事のおこりはxx+2年8月・・内縁の夫が急死されたこと。
利用料の支払い、お小遣いの入金、日用品の購入など、主に経済面で支援してくれていた方です。
今後の支払いについて、第2身元引受人である義理の妹さんに相談したところ、「自分たちの生活もあるし、経済的な支援は難しい。内縁の夫が残してくれた預金があるうちはなんとかなるけど・・」との返事。話し合いの結果、義理の妹さんは金銭管理や日用品等の購入、相談窓口として役割を引き継いでくれることに。
 それから数年の間は、トラブル無く経過しました。その間にもご本人の認知症は徐々に進行し、単語の理解も難しくなり、自発的な言葉といえば「同じ言葉の繰り返し」のみ・・・。
そして、いよいよその日が来てしまいました。
 
 xx+5年1月、内縁の夫が残してくれた預金が底をついたのです。月々の支払いは平均8万円前後・・その他にもインフルエンザの予防接種、衣類の購入、栄養補助食品の購入(食事接種量が少なくなってきた為)、外出行事への参加(任意)などの費用がかかります・・・
 義理の妹さんだけではなく、ご本人の弟さんも交えて、今後のことについて相談しました。しかしそれぞれに「自分達の生活」があり、今以上の支援は難しいとのこと。特に経済的な支援は全く出来ないと・・・。
 万策尽きた頃、義理の妹さんから「長男さん」の話が出ました。入所時からその存在は知っていたのですが、入所の時点で全く関わりが無く、今後も登場することはないだろうと思い、私としてもノーマークの人物でした。長男さんに事情を説明すると、遠方にもかかわらず来園していただけることになりました。
 
 
 
 

平成27年9月27日

2015-09-27
 
 コラム2回目は犬探しのお話です 

 

中澤家には「アルト」という犬がおりまして・・。その「名犬」アルトくんが脱走してしまい、「迷犬」になってしまったお話です。

 介護と関係ないじゃん??  と思う方も、まずは落ち着いて最後まで聞いてくださいな(笑)

 

 

  

それは私が宿直明けの朝でした。

妻から電話が入り、「アルトがいなくなっちゃった・・」と泣きそうな声で訴えてきました。「でもこっちはまだ仕事中だし・・」と思いましたが、それは胸にそっとしまい、妻の話を聞きました。

それから急いで仕事を終え、9時過ぎには帰路についたのですが、途中で妻から電話が入り、「アルトが見つかったの!!」との報告が

脱走(推定では前日の夜9時過ぎ)から発見まで約12時間・・・よくぞ無事に戻ってきてくれたものだと感心しました。

 

発見のキッカケは隣集落の愛犬家(Aさん)からの通報でした。それも、妻の友達(Bさん)を通じての連絡でした。

 

ちなみにAさんとBさんは愛犬家つながりで、元々知り合いです。

妻とBさんは同じ集落&子ども会で顔馴染みという関係。

 

発見までの経緯は次のとおり。

 

Aさんが朝起きると、見知らぬ犬が庭先に・・。Bさん宅で犬を飼っていることを知っていたAさんはすぐに保護してBさんに連絡。しかし、Bさん宅のワンちゃんはきちんと家におりました。

Bさんは考える・・「もしかしたら中澤さん家のワンちゃんかも?」と。

Bさんから妻へ連絡が入り、妻がAさん宅を訪問、御用となったわけです。

 

やっぱり介護なんて関係ないじゃん、と思うなかれ!!

 

 

アルトくんを「認知症の高齢者」に置き換えると・・そう、徘徊の話になるのです。

TVでも毎日のように取り上げられる認知症の話題・・。平成27年度介護報酬改定の基本的な考え方においても、「地域包括ケアシステム(中重度の要介護者や認知症高齢者となったとしても、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるようにする)の構築」が重要であることが示されました。

筑西市の第6期介護保険事業計画にも、認知症対策の強化(認知症地域支援推進員の設置、認知症初期集中支援チームの設置、認知症サポーター・キャラバンメイトの育成など)が盛り込まれております。

地域で認知症高齢者をどう支えていくかが課題であり、その対策が急務となっているのです。

 

今回の脱走事件が解決に向かったキッカケは「興味・関心」にあると思うのです。

 

「あれ、このワンちゃんは・・」「もしかしたら○○さんの・・」と考えを巡らせてくれたことが第一歩であり、電話で連絡をするという行動に移してくれたことが結果に繋がったのではないかと。

一概には言えないが、これを認知症高齢者に当てはめた場合、「あれ、このあたりにこんな人いたっけ?」「あの人、なにやら動きがあやしいぞ・・」といった地域の目を強化することが、認知症高齢者を支えるご家族の「安心」に繋がっていくのではないでしょうか。

 

 

長々と書いてしまいましたが、今回のブログで一番伝えたかったこと、それは「にはしっかり首輪をしておこう」ということです(笑)。

 

 

ではまた(^^)/ 

 

平成27年6月15日

みなさん、こんにちは!ケアマネージャーの中澤です
じめ~っとした嫌な陽気が続きますね。水分補給をしっかり行い、体調を崩さないように気をつけましょうね
 
さてさて。
新に登場した、この「ケアマネコラム」
思いつくままに…不定期に…掲載していきますので、よろしくお願いします
 
初回は!
先日、某和食レストランにて素敵な場面に遭遇しましたので、書いてみます!
 
その日は、70代半ばの男性がご家族と一緒に外食に来られていました。男性は左片麻痺があり、T字杖を使用する事でなんとか歩行可能なレベル。身体はガッチリしており、奥さんらしき細身の女性にとって介助は難しいだろうなぁ…と思われました。
 
食事が終わり、靴を履いてお座敷から立ち上がろうとしていたのですが、フロアと座敷の間には2段の框があり、足を手前に引くことも出来ず、うまく立ち上がることができません。右側の柱に腕を絡ませ、腕の力のみで立ち上がろうとしますが、やはり上手くいきません。
見かねた奥さんが「手伝おうか?」と声をかけるも「やんなよっ!」と拒否姿勢。
体勢を変えたり、勢いをつけたり…いろいろな方法を試すが上手くいかず…10分くらい格闘が続きました。
その後も奥さんは何度となく介助を促しますが『断固拒否』
「○○くん(おそらく息子さん?)呼んで来ようか?」と言おうものなら「やめろっ!」と語気を強め…。
店員さんの声掛けに対しては「リハビリですから大丈夫ですよ」と奥さん自らが介助を拒否。
 
そうこうしているうちに、今度は別の店員さんが気づき、声を掛けてきました。
さすがに観念したのか、ご本人も奥さんも介助を受け入れ、立ち上がることができました。
 
 
 たった10分程度のやり取りでしたが、男性と奥さんの『強さ=ストレングス』をいくつも発見することができました。左片麻痺があっても、できることは自分でやるんだ!という姿勢!
ご本人の気持ちや意欲を把握・理解しているからこそ、奥さんは他者からの支援を断っている。
小さなお子さん(お孫さんかな?)がいたせいか、テーブル席ではなくお座敷を選ぶという、ご家族への配慮。
 
おそらく自宅だけの生活では今回のような状況には遭遇しないでしょう。
しかし、外食を継続することで「社会性の維持」「地域とのつながり」「モチベーションの維持」
そして「家長としての役割」など、生活していく上でもっとも大事なものを獲得できるのです
 
もし、男性がデイサービスを利用されていたとするなら、是非「外食時に向けた、お座敷からの立ち上がり動作」をみっちり練習していただきたいな…な~んてケアマネっぽい考えが浮かんじゃいました
 
 男性が今回の件で挫けることなく、また家族みんなで外食を楽しんでいる姿を勝手に想像しつつ、今回のコラムを終了とさせていただきます。
 
 ちなみにそのときの僕は。
 大好きなチョコレートパフェを食べながらその様子を見ておりましたとさ。
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